晴耕雨読

kasumi-maki2006-04-05

今日は雨。一日中。そんなときは読書に限る。先日の続きを。

世界詩人全集18アラゴン・エリュアール・プレヴェール詩集から、
 プレヴェールの詩
     「心こまやかなれば破壊をまねく」
ひとりの男が新聞を買い、ちらと目をとおしただけでぽいと捨てる。
だれかが走ってきて、男の腕をつかむ・・・
――あなた、新聞が落ちましたよ。
――これはどうも、男はいう。
――どういたしまして、こんなこと何でもありませんや、立ち上がりながらその人はいう・・男はもう、新聞を投げ捨てられない・・・そこで男は新聞を読む・・そして何たる不運、男は彼の運命を一変させる記事を読む。
 逆上し、せきたてられ、男はもはやどこにいるのかわからなくなり、通りすがりの男に道をたずねる。相手はたちどまり、よろこんで、親切に、どう行くべきか長ったらしく説明する。それはすぐそば、ほんの二歩ばかりの場所だったのだ。 とつぜん、男は気づく。そうじゃない、まるでちがうよ、これではまったく逆方向だ。
しかし相手は遠ざかりながら振りむいて、にっこり笑う。そこで男は、教えられたとおりに歩く。男には、どうしても、別の道をとることができないのだ。あんなにしんせつにな人を傷るけるわけにはいかないじゃないか。こして男は、ものすごい迷路にさまよいこむ。夜が落ち、男は5年前から逢わなかった女出会う。男は彼女に、新聞記事を読んで聞かせる。女はさめざめと泣きくずれ、男の腕にくずおれる。こうして二人の上に、昔と寸分違わぬ不しあわせが、また落ちてくる。男と女は、ふたたびわりない仲となり、つらいつらい真実の鞭の懲罰をうける。
 Les ravages de de’licatesse